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アメリカの誕生から大統領選挙まで 【青木裕司と中島浩二の世界史ch:2】

更新日:3月14日



世界史参考書の超ロングセラー『青木裕司 世界史B講義の実況中継』シリーズの青木裕司先生と、福岡を中心に活動する人気タレント中島浩二さんがお送りするYouTubeチャンネル青木裕司と中島浩二の世界史ch」の文章版を紹介しています(許可を得ています)。



中島:

大人の世界チャンネル中島浩二です。そして道しるべは河合塾のカリスマの世界史の先生、青木裕司先生です。よろしくお願いします。


青木:

よろしくお願いします。


中島:

今回から本格的にいろいろお話をやっていこうということなんですが、はい。世界地図ができました! できましたというかですね、搭文社っていう会社の世界地図です。ご協力いただきまして、ありがとうございます。

僕思うんですけれども、この世界地図を見るにあたって日本の地図っていうのは、やっぱ日本が中心なんですね。で、これって世界史とか地理を学ぶ上で、かなり、世界地図が、日本がはしっこの方にあった方が実はわかりやすい、みたいなところがありますよね。


青木:

ですね。


中島:

そうなんですよ。だって日本が極東の国って言われても、この世界地図見たら、真ん中にあるのに極東?って思いますもんね。


青木:

極東って言い方はだいたいね、イギリスが基準なんです。


中島:

真ん中なんですよ。そうなると、なるほど。なるほど。こんな風にみんな行き来してるんだっていうのが実はわかりやすいんです。まあ、だから。いやいや、でも、もう本当に搭文社世界地図はすごいんで、はいあのほんと協力いただきまして、ありがとうございます。先生、あの今、収録の時点ではもういよいよあと数日でアメリカ大統領選挙という。


青木:

そうですね。今後の四年間が決まってしまう。世界が決まってしまうというね。


中島:

いや、本当にだからまあこんな言い方するとどうかと思いますけれども、トランプさんがアメリカ大統領になって、こんなにも世界って振り回されるかと。だから、やっぱりあの他国の大統領なんだけれども、これはきちんと我々も見とかなきゃなということで、今回はアメリカを見ていこうということなんですね。


青木:

はい、まずどんな国なのかということですね。建国がね、1783年。今から200数十年前ですね。


でどんな人たちがつくったのかというところからまずいきましょうか。地図をちょっと描きました。もともとね、アメリカって先住民がいたんですね。いわゆる。。。


中島:

先生、もう搭文社の地図とあんまりにも違いすぎて。もうこれ、これアメリカ大陸ですよね、こっちが東海岸、こっちが西海岸です。はい。



青木:

でまあイギリスがあってアイルランドがあって、まあ今から400年くらい前にですね。イギリスからやってきた人たちが中心になって、今のアメリカの原型を作っているんですね。


中島:

国っていう概念がなかったわけで。


青木:

もともとは、イギリスの植民地だったんです。じゃあ、どういう人たちがイギリスから渡っていったかというと。ひとつには、宗教的弾圧を受けた人たち。彼らが心の自由を求めて国を捨てて新大陸に移っていくわけですね。


中島:

宗教的弾圧っていうのは宗派の違いですか?


青木:

そうです。同じキリスト教なんだけども、必ずしもイギリス国王になじまない、そぐわない、そういう宗派がありました。ピューリタンって言いますけどもそういう人たちを中心として、心の自由を求めてアメリカに移っていくわけです。もう一つは、貧しい農民たちが土地を求めて一旗あげに行くわけですよ。


中島:

これっていうのは、まあ、ね、明治になってからの日本だっていろんなところに移民しましたけれども、それと同じ歴史ですよね。


青木:

そうです。だから、もう基本的にはアメリカ人のルーツはなんかというと、自由を求め。で将来ね、豊かな未来を求めてアグレッシブにね、自分の未来をこうしていこう。そういった人たちがやっぱ中心なんですね。これあのアメリカ人自身はパイオニアスピリットまあ、いわゆる開拓者精神だからね。消極的なアメリカ人っていないんですよね。



中島:

はは。引っ込み思案な人はいないと。


青木:

みんなアグレッシブでフレンドリーで、いいやつばっかりですよ、アメリカ人って。


中島:

なるほど、なるほど、だから結局やっぱりそういう土地に住んでいたらみんなそうならざるを得ないんですね。


青木:

そうです。しかもみんな新天地を求めて行っちゃうんで、協力しなきゃいけない。協力するためには何が必要かっていうと、お互いの信頼と尊敬なんですよ。あなたの言うことも私の言うこともお互いに尊重しようねと、こうしてあのいわゆる民主主義が、その基盤が作られていくんですね。



中島:

ああ、そっか。いやだから、当時、世界的に見たらかなりめずらしいですよね。キングダム、つまり、王朝があって、それに仕える民がいて、まあ日本だってやっぱ大名っていうのがあって、それに仕える民がいて。。。


青木:

なにかと上下関係があるんだけど、アメリカに渡っていた人たちって基本的にみんな貧乏で、とにかく、ここで頑張んなきゃいけない。


中島:

これっていうのは、世界的にその時初めて起こったムーブメントみたいな。


青木:

というふうに考えていいと思いますよ。


中島:

そうなんですね。


青木:

ここに新しい自分たちの、まあ自分自身で新しいルールを作って新しい社会を運営していこうと。


中島:

で、自由と平等と。そして、話し合い。それから考えると今は全く逆の方向に行ってないですか?


青木:

そうなんですよね。残念ながらそうなんですよね。それが今回の大統領選挙でどうなるかということですよね。


中島:

ああまあまあ、ちょっと話は一応それましたけれど、そういうふうに自由と平等、そして自分たちの未来っていうのを追い求めてアメリカに渡ったイギリスの人たちが中心。


青木:

そうです。で、渡っていった人たちはどうするかというと、豊かな未来を求めて一生懸命努力するんですから、最も努力し最も成功した人たちが尊ばれる社会が作られていくわけですよ。


中島:

なるほど。そういうのを知ると、今のアメリカの社会が、、、あなるほど。なるほど、アメリカンドリームってもうそこから言われてるんですね。


青木:

基本そうなんです。行った以上は努力しないとダメだよねって発想ですよね。だから、あのアメリカ人が好きな言葉でセルフメイドマンという言葉があるんですよ。

これは日本語に無理矢理言うならば叩き上げの人物で。菅総理もそういう風に言われているらしいので、叩き上げの人物。天は自ら助くる者を助く。神様って一生懸命努力する人間に必ず報いてくれる。これもアメリカ人の心情の中にきちっとありますね。


中島:

宗教の中の言葉で、キリスト教の中にはあるんだけれども、でもそれを尊ぶっていう文化なんですね。


青木:

でまあ、一生懸命努力して、ちょっと努力が報われたのが、19世紀の後半から20世紀初頭ですね。すなわち、アメリカで工業が発展して1880年代にですね。アメリカはイギリスを抜いて世界一になるわけです。


中島:

1880年代だから、、、皆さん日本史をやってらっしゃる方だったらわかると思いま。まあ、1800年代の半ばに結局ペリーが日本にやってくるわけですよね。その頃のアメリカっていうのはまだまだ、、、アメリカです。


青木:

そうですね。まあ工業もぼちぼち本格化したかな。ただ、人口まだね1500万人もいないです。


中島:

ということは、日本の方が全然。。。


青木:

断然多いです。3000万人弱いましたから。


中島:

そういうことなんですよ。でも、日本にやってきたというのは?


青木:

まあ、直接的に目標は何かというと、まあアジアで手広く商売するための、まあ基地の獲得ですね。より具体的に言うと油が欲しかったんですよ。油がどっから来るかっつうと。マッコウクジラです。

で、その捕鯨の基地、そしてやはりあの太平洋の向こう側に、要するに日本に基地が欲しかった。


中島:

で鎖国してたけれども開国しろっていうふうに。だから、あの時のアメリカっていうのはまあ蒸気船でやってくるけれども。蒸気機関船でやってくるけれども、さほど大きな国ではなかったと。


青木:

はい。で、その後は日本の目の前から消えちゃうんですよ。なんでアメリカが消えたかというと南北戦争を始めたからです。



中島:

自分たちの国の中で。


青木:

はい。で、それが終わった後に、アメリカの経済が統一をされて、ぶっちゃけ言うと、北が南を支配することによって経済的な統一が果たされて、北の工業地帯が南部の原料生産地帯ですね、それを抑える。で、マーケットも抑える。こうしてこの後アメリカが飛躍していく。飛躍的に発展していくんですね。80年代にはイギリスを抜いちゃうんですよ。


中島:

っていうか、今の資本主義の基本みたいなところが。


青木:

そうですね、まあもちろん、資本主義の基本はイギリスがつくるんだけど、イギリスを差し置いて大成功しちゃうんですね。そして、20世紀に入って第一次世界大戦が終わった時には、アメリカは物を作るだけじゃなくて、金融の面でもイギリスを抜いて世界一になっちゃうんですね。それまではアメリカって外国から借金をする国だったんですよ。それが逆にお金を貸す国に変わっていくんです。


中島:

これ、今日はですね。あのかなり駆け足でやっています。今後こういうのもちっちゃくちっちゃくやっていきますけれども、かなりざっとやっていますね。はい。


青木:

そして第二次世界大戦、これで多くの国々が疲弊しますよね。勝ったイギリス、勝ったフランスね。ソビエト連邦。もちろん負けた日本とドイツはめちゃくちゃになっていると。そういう中でアメリカは圧倒的な力を持つようになって、世界のリーダーになるわけですね。


中島:

大きなところで言うと、アメリカって何にもないところに、皆さんがまあ、イギリスの宗教的弾圧を受けた人たちがいて、そこで国を作って南北戦争、、、日本に来たりしたけれども南北戦争になり。その後、第一次世界大戦でヨーロッパが大変な時に、アメリカが自分たちが武器あれしたりだとかして。で、その後、もうお金持ちになって。で、世界一になって、第二次世界大戦の後に今度はリーダーに。


青木:

はい。リーダーとして何をしたかというと国際連合を作ったわけですね。今でもね、国際連合はありますけども、基本的には世界平和を守るための国家間の連合です。で、まあアメリカとしてもね、平和な方が金儲けに専念できるんですよね。さらには、貿易をバンバンやるためには、相手の国の経済も安定していないかんというんで、相手の国、特に戦争で傷ついた国を安定させるためにIMFという組織をつくった。

国際通貨基金IMFにはいろんな役割がありますけども、一番大きな目的はアメリカにとっての貿易相手国の経済を安定させる。で、より安心して貿易できる相手にすると。


中島:

これは結局アメリカのためでもあると。


青木:

そうです。周りの国々が繁栄することは、アメリカの繁栄につながってくるというのが戦後間もない頃ね。第二次世界大戦が終わった後のアメリカに強くある意識なんですよ。日本の戦後復興も背中押ししてあげますよね。ヨーロッパの戦後復興もマーシャルプランっていうね、全体で20何兆円かばらまいて、復興しようと。で、復興したら、お互いに貿易をやって儲けようねと。戦後すぐのアメリカでそういう発想あったんですよ。



中島:

ただ、今はあんまりないですよね。。。


青木:

もう、大変です。軍事的にはアメリカはやっぱすごいですよ。これね、2018年、二年前のアメリカの軍事予算ですが、7320億ドルなんで、77兆円。日本が5兆円なんで、ええまあ、十何倍ですね。第2位が中国で28兆円。アメリカ一国で、中国以下第11位のイタリアまでより多いですよ。だから数字上は中国から日本、イギリス、フランス、イタリアが全部まとまっていっても負けちゃう。アメリカに負けちゃう。



中島:

すごいなんかずっとやってきたら、こんなことになっちゃったみたいなところではあるんでしょうけれどもね。


青木:

そうですね。ところが一方で、世界最大の今債務国になっているんですね。お金を借りる国になっちゃってる?ええ、だいたい概算でね、2000兆円借りている。


中島:

2000兆円!


青木:

どげんやって返すと?って。



中島:

いや、これがね。実はあの日本のその借金とは全く違うんです。これ日本の借金っていう言い方はなかなか難しくて、国債によるものですから、果たしてこれを借金というね、国民一人あたりとか、いや、国民一人当たりじゃないですからね、あの国がっていうか、政府が負っている借金なんで、国がっていうこともおかしいんですよね。


青木:

あのまあ、もっと言うとね、外国から借りているわけじゃないですか、日本の場合はね。アメリカの場合は全部含めて2000兆円だから。


中島:

アメリカは大変な借金大国なんです。日本は全然わけが違う。でも、そんな借金になってて、大丈夫なもんなんですか。


青木:

大丈夫じゃないと思いますよ。


中島:

いやー。ああ、これ大変な話です。


青木:

それ以外に輪をかけて、あのまあ、世界の国々と貿易やってますよね。で、貿易をやると、輸出輸入、、、で輸入の方が多かったら、これ赤字国になるわけですね。今、世界で一番の貿易黒字国って中国で、だいたい年間42兆円。じゃあ世界で一番貿易赤字が大きい国って言ったら、、、アメリカなんです。


中に

まあ、だから。結局、トランプさんは貿易のことをずっと言い続けているっていうこと。


青木:

世界貿易赤字ランキングでアメリカ第191位。ビリです。



中島:

でも、結局、アメリカはそういうふうに言っていて、でもトランプさんが、じゃあ保護しようと、関税いっぱいかけて、うちの国で作っているものをみんな買おうや、っていうふうなことを言っても、これは実際には功を奏さないですよね。


青木:

あの一部の産業にとってはプラスになるんですよね。だけども、たとえばアメリカが中国からおもちゃを輸入して売っている小売りの皆さん、この後はあのほらクリスマスシーズンじゃないですか、もうデパートのねおもちゃ売り場なんてどうなるんだろうと思いますよね。大変なんですよね。経済っていうのは複雑なんで、アメリカのすべての国民にとって、何らかの政策が100%プラスになるということは絶対にあり得ないです。

必ず何かを断行すると切り捨てられるところが出てくる。トランプさんとしては、より票に結びつくのはどこかと、その辺を考えて政策を打っている気がするんですよね。


中島:

15分になりました先生。15分でアメリカは誰が渡ってきたかっていうところからやりましたけれども、今日ちょっと概算でやりましたし、ちょっとわかりにくかったかもしれませんけれども、ちゃんとあのこの後、細かいところずっとやっていきますんで、はい、どうぞお楽しみに。









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