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ノルウェーかっこいい!【青木裕司と中島浩二の世界史ch:9】



世界史参考書の超ロングセラー『青木裕司 世界史B講義の実況中継』シリーズの青木裕司先生と、福岡を中心に活動する人気タレント中島浩二さんの青木裕司と中島浩二の世界史ch」の文章版です(許可を得ています)。


中島:

歴史を紐解けば未来が見える。大人の世界史チャンネル中島浩二です。そして河合塾のカリスマ講師、世界史の青木裕司先生です。よろしくお願いします。

今回は私のリクエストで、すいません飛びますけれども、先生にノルウェーをやってくださいと。なんでノルウェーなのかということですけれども、もうそろそろノーベル賞の受賞式、本当だったら晩餐会を見て、なんかあれ良いですよね。

一生懸命今までいろんなことをやってきた人たちがノーベル賞というのを授与されるんですよ。ノーベル賞といったらもともとアルフレッド・ノーベルという人は爆弾をね。


青木:

そうですね、ダイナマイトの発明者ですね。


中島:

ダイナマイトを発明した人で、そのダイナマイトというのが本当は人類のために硬い岩盤とかをドカーンとやって、建設とかそういうことで役に立ててもらおうと思ったら、戦争に使われちゃうんですね。


青木:

そうですね。多くの命を奪ってしまうと。それを気に病んでいて、罪滅ぼしじゃないけども、人類の知的発展に貢献した人に対して、世界の発展に貢献した人に対して賞を差し上げると。


中島:

そうなんですよ。ノーベルという人はスウェーデンの人、アルフレッド・ノーベル。スウェーデンの人なので、スウェーデンでノーベル賞、いろんな賞が授与されるんですが、ただ平和賞だけはノルウェーですよね。なんでノルウェーなのかなというふうに思う人、多いと思うんです。

青木:

基本的にノルウェーって平和を愛する国なんですね。


中島:

いやいやいや、基本的にノルウェーって平和を愛する国というか、イメージ的にはノルウェーというと、ビートルズの「ノルウェイの森」、村上春樹の「ノルウェイの森」、

それからフィヨルド、切れ込みが40数キロですよ、福岡から突端に行くのに久留米ぐらいまで行かなきゃいけいけないというぐらいの、これまた大雑把な地図になっちゃったので、塔文社の地図できちんと見せますけれども。北欧4か国ですか、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク。みんな同じようなイメージで、女性にとっては雑貨がかわいいとか、それから社会保障がすごいとかあるんですけど、突出して平和を願う国ですか。


青木:

そうですね。もっと具体的に言うと平和のために対立している連中の間に入っていって、争いをやめようよと、ずっと仲介の労をとってきた国なんです。

一番有名なのは今から27年前のパレスチナ暫定自治協定というやつですね。



中島:

オスロ合意。



青木:

はい。パレスチナをめぐって対立していたパレスチナ解放機構、PLOの議長アラファトと、イスラエルの首相ラビンさん、あの間に入って粘り強い下交渉をしたのが実はノルウェーだったんです。


中島:

だからオスロだったんですか?


青木:

そうです。最終的な条約の調印式はワシントンで、当時のアメリカ大統領クリントンの前でやりますけど、下交渉自身はノルウェーが本当に努力して頑張ってやるんですよ。


中島:

世界史の話で言ったらそれこそ先生が得意中の得意ですよね。とうとうと授業、いくつかコマをやって、まあ第二次世界大戦ですよ。あのとき大変な争いになって、イギリスがユダヤの人たちに協力してくれたら、これはお金の協力ですね。


青木:

お金の協力。あれは第一次世界大戦。


中島:

第一次世界大戦のとき。お金の協力をしてくれたら、7あなたたちの国を作って良いですよみたいな約束をするんですよね。それでイスラエルという国が。

青木:

第二次世界大戦後にできるんだよね。


中島:

第二次世界大戦後に建国されるんです。そしたらそこにもともと住んでいたアラブの人たちと衝突が起こって、ずっとその衝突の歴史がずっと続いて。


青木:

戦争だけでも4回ありますかね、中東戦争


中島:

4回ですよ、第二次世界大戦のあとに4回やるんですよね。


青木:

そのこじれにこじれた関係を解きほぐすためにノルウェーが頑張るんですね。


中島:

なんでノルウェーが頑張るんですか?

青木:

そういう国なんです。この国って基本、農業をやるには寒いので、昔からいわゆる海運貿易、これで頑張っていた国なんですね。ちなみに言うとノルウェーの特産物というと木材。


中島:

森?


青木:

はい。ノルウェイの森です。実は「ノルウェイの森」の森、ウッド、あれは家具のことなんですよね、本当はね。ノルウェー風の家具という意味なんです。


中島:

じゃあノルウェイの森って間違えて。


青木:

誤訳です、あれ。

中島:

まあまあ、ビートルズの曲が、こんな曲が出たというところで、森って間違えて訳しちゃった。


青木:

そうですね。

海運貿易ね。相手は世界なんですよ。世界を相手に貿易をするためには、ノルウェーが安心して貿易をやるためには世界平和が前提であると。基本はこういう考え方なんですね。

だからパレスチナ問題だけじゃなくて、世界のありとあらゆる問題に首を突っ込んでいくんです。


中島:

パレスチナ問題なんて、あんなに危険な問題だったのに。


青木:

危険な問題だったので、実は和平を結ぶことに反対する人たちがいるわけですよ。


中島:

もちろんそうですよね。


青木:

イスラエルの中にもPLOと話すなとかね。PLOの中にもイスラエルと交渉なんかするなと。そういった人たちからテロをやられる恐れがあるので、オスロ合意、オスロで話はするんだけども、オスロの街中じゃなくて田舎でやるんですね、人目につかないところで。


中島:

あのときはラビンさんもアラファトさんも自分の命の危険もあるわけですよ。それはアラファトさんなんてPLO、パレスチナ解放機構のトップの人ですけど、トップでも危険ですよね。ラビンさんもそうですよね。


青木:

もちろん交渉の場を与えたノルウェーもテロの対象になる可能性があるわけですよ。そういうことがありながらもノルウェーは頑張るんですね。さっきも言ったようにパレスチナだけじゃなくて、中米のグアテマラ、あそこも内戦が続いてたんです。

あそこにも「やめなさい」と。それから南インドのスリランカですね、南アジアのスリランカ。昔はセイロンと言っていましたけど。あそこも民族対立から血で血を洗うような内戦が続いていたんですよ。これについてもノルウェーが「やめなさい」と言って休戦の労をとるんです。

中島:

ノルウェーが、そう世界が平和であることによって自分の国が繁栄するという。


青木:

そういう確信があるんです。


中島:

なんかかっこいいですね。


青木:

かっこいいですね。


中島:

そういう国にうちの国もなってほしい。


青木:

うちの国はなれるんですよ。中東問題に関してはね。話が横道に逸れちゃうけど。


中島:

これはイランに出光の日章丸が乗り込んで、イランの人たちが拍手喝采、この話も本当、2回3回、15分の1コマでは話せないぐらいのものですけれども、それぐらいの、ノルウェーの国はそういうことなんですね。

青木:

そうですね。しかもノルウェー自身も第二次世界大戦で大きな被害を受けてるんですよ。第一次世界大戦のときもそうですね。実際に貿易をやろうと思って船を出すじゃないですか。ノルウェーって中立国だったのにドイツの潜水艦にガンガン撃沈されちゃうんです。持っている船の半分ぐらいを失っちゃう。第二次世界大戦のときにはナチスドイツによって国が占領されて大変な目に遭うんですね。そんなことがあるので、基本戦争反対。なおかつ国が発展する、経済が発展するためには世界平和が必要であると。ホント中島さんがおっしゃったようにカッケーんですよね。


中島:

かっこいいです。どうしてもバイキング、海賊というイメージがあるんですけど。


青木:

バイキングってノルウェーの南からスウェーデンの南がデンマーク。このあたりに住んでいた人たちのことを昔バイキングと読んでいたんです。語源はなにかというと、入り江のことをノルウェーの言葉でヴィークと言うんですね。

入り江に住んでいた人たち。だから入江陵介という背泳ぎの選手、あれノルウェーに行ったらバイキングですよ。


中島:

いやいや、なんですかそれ。


青木:

昨日から考えてた。


中島:

昨日から考えちゃってた。料理はバイキングは関係あるんですか?


青木:

関係ないことはないですね。きっかけはなにかというと、1938年にニューヨークで万国博覧会が行われていて、そこでスウェーデンだったかな、スウェーデンのパビリオンで立食式で食べ物を供給していたと、食べ放題のね。それを帝国ホテルの支配人が見て「これ良いね」って戦後に導入したんです。


中島:

で、バイキングと言ったんですか。


青木:

もともとはスモーガスボードという名前なんです。

スモーガスボード、棚にいろんな食料を並べてみんなに撮ってもらう。ただ、スモーガスボードだと馴染みがないので、北ヨーロッパ、スウェーデン、ノルウェー、、、バイキングだと。


中島:

なんでもよく知ってますね、先生。ちゃんとノルウェーが平和を好む国、積極的に平和に介入していく国というのが皆さんの頭の中に残りましたよね。入江陵介が向こうで泳いだらバイキングって言われるよという。

僕はそれともうひとつ、今回おもしろいのはバルト三国。ちゃんとリトアニア、ラトビア、エストニアのことについて、皆さん場所わかりますか?リトアニア、ラトビア、エストニア。ここもちゃんと点々で書いてるというところがすごい。でもノルウェーってそんなに良い国なんですね。


青木:

良い国ですね。


中島:

北欧4か国でフィンランドとかスウェーデンとかデンマークもありますけれども、その中で際立っているのはノルウェーだと。


青木:

そうですね。そのノルウェーが実は今から200年ほど前、1814年からスウェーデンの支配下に入っちゃったんです。

当然ノルウェーでは独立運動が盛り上がって、19世紀の末にかなり関係性が険悪になるんですね。ちょうどその頃にノーベルがダイナマイトを発明してお金儲けをして、ノーベル賞を創設すると。遺言の形では残ってないんだけども、ノルウェーとスウェーデンの険悪な関係に心を痛めていたノーベルが、ゆくゆくは独立するかもしれないノルウェーに平和賞の授与する権利を与えたと。それによってスウェーデンとノルウェーが仲良くなると。


中島:

本当ですか。


青木:

これ確証はないんですけども、いろいろある説の中では一番有力だと言われているんですね。ノルウェーの外務省の皆さんもホームページの中でたぶんこれが正しい説だろうとおっしゃっています。



中島:

じゃあノーベル平和賞を与える、権利を与えること自体も平和に寄与していたし。


青木:

そう。ノルウェーとスウェーデンの間でね。なおかつノルウェーが平和賞の授与を行うというのは、ノルウェーが紛争地域に入っていくときに非常にプラスになるんですよ。「平和賞の国ですよね」って。しかもアメリカとかロシアとか中国じゃなくて、ノルウェーって小さな国じゃないですか。紛争地域に入っていってそこを自分が支配するなんていう下心もないだろうとみんなから思われているんです。平和を愛する小国、勇気があるということでみんな信頼するんですね。


中島:

でもノルウェーの人たちは絶対そのことを知ってるわけですよね。自分たちで日本史を習うみたいにノルウェー史を普通に習うわけでしょ?


青木:

そうそう。ちなみに国際連合、あれも平和を守るための国際組織ですけども、初代の事務総長もノルウェー出身ですよね、リーさんという名前。

中島:

良い国だ。ノルウェーにとたんに行きたくなりました。先生、ノルウェーに行ったことは?


青木:

行ったことないです。


中島:

これは良い国だなあ。


青木:

フィヨルドはいっぺん見てみたいですね。


中島:

フィヨルドは良いらしいんですよ。だって切り立ったのが40数キロなんて。


青木:

三陸海岸のもっとスケールのでかいやつ。


中島:

そうです。だからあそこは漁業も本当にすごいんですよね、お魚がたくさん住んでいて。


青木:

良い国なんですよ。


中島:

これは日本が見習うべき国ですね


青木:

そうですね、こういう国になってほしいですね

中島:

そうですよね。安倍さんがイランとちょっと話してきてってアメリカから言われて行きましたけれども、なかなか手土産が持って帰れなかったみたいですが、なにかそういうひとつ、日本も、国になりたいですよね。


青木:

そうですね。そのためには平和を愛する国だということのアピールというか、それをもっとやってほしいですよ。


中島:

日本がね。今どうしてもやっぱりアメリカとの同盟ということに気を遣いながら。


青木:

それはそれで大事なんですけどね。


中島:

そうですよね、大事です。








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