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太平洋戦争 志ん朝 SEX PISTOLS【青木裕司と中島浩二の世界史ch:0021】



世界史参考書の超ロングセラー『青木裕司 世界史B講義の実況中継』シリーズの青木裕司先生と、福岡を中心に活動する人気タレント中島浩二さんの青木裕司と中島浩二の世界史ch」の文章版です(許可を得ています)。


 中島:

歴史を紐解けば未来が見える。大人の世界史チャンネル中島浩二です。そして河合塾のカリスマ講師、世界史の青木先生です。よろしくお願いします。

 

青木:

お願いします。

 

中島:

年末年始の特別バージョンということで、青木先生の書斎からやっているんですけれども、やっぱり太平洋戦争関連の資料は多いですね。

 

青木:

そうですね。もともと九州大学の文学部の国史学科、日本史学科の出身なんですよ。

 

中島:

世界史の先生ですけど、そうなんですか。

 

青木:

もともとは日本史学科の出身です。

 

中島:

あの戦争がなんだったのかというのを自分なりに解釈しないと、今の日本で自分たちが社会人としてどう考えるべきかというところは定まっていかないですよね。

 

青木:

そうですね。ちなみに言うと東南アジア中心に中国など、日本は侵略したわけです。された人たちは今でもそのことを忘れていないんですよね。そのことを侵略した側、武力進出した側が忘れていると、うまくいく関係もいかなくなりますからね。そういったことも含めてしっかりと過去の歴史に向き合うと。

 

中島:

そうですね。いろんな意見がありますけれども自分なりにどうだったのかという、こういうところを、しかもこれだけ本があるということは多角的に見ていかなきゃいけないということですよね。いろんな意見がある中で、どうしてもインターネットというと自分に近い意見ばかりがどんどん出てくると、違う意見というのがなかなか見えない。

 

青木:

確かにそうなんです。僕ら歴史を勉強する側もそうで、たとえば満州事変と日中戦争、誰が悪いかみたいな議論が昔はあったんです。それは関東軍が悪かった。誰かを悪者にすると話が単純になっちゃって、今、中島さんがおっしゃったような多角的な見方ができなくなるんですよね。


中島:

どうしてそうなったかというところに目が行かなくなっちゃうんですね。

 

青木:

僕が中国の話をしたときに、関東軍の将兵の皆さんの気持ち、絶対に自分たちのあの利権は守るんだと、でなければ日露戦争で亡くなった先輩方に申し訳が立たない。そういったところはちゃんと考えてあげるべきだと僕は思うんですね。でないと歴史が見えてこない。

 

中島:

ということですよね。こういうものが良いですよという、これすごいぞ。先生、大東亜戦争開戦経緯。これがこんなにもあるんですか。

 

青木:

全部で108巻ぐらいあるんです。これは防衛庁が作った太平洋戦争の。


中島:

そうなんですね。開戦の経緯というのが、こういうのをずらっと読むといろんなところが見えてくるということですね。

 

青木:

そうですね。これは先の戦争に関して防衛庁がまとめた本で、そのうちの10冊くらいがどうやって開戦経緯、戦争に至ったかという話なんですけども、ただ陸軍の見方と海軍の見方が少し違うみたいなんです。

 

中島:

実際はそうですよね。陸軍と海軍の関係というのもかなりライバルになっていて、どっちが手柄を上げるかという部分もあったでしょうから。

 

青木:

海軍と陸軍で見解が違うみたいなので、この本ができたのは戦争が終わって20年ぐらいあとなんですよね。まだ存命の方々がいっぱいいらっしゃるとき。海軍関係者が書いた開戦経緯と。

 

中島:

だから1、2があって、同じ1、2だけど分厚さが違うということで。


青木:

これは陸軍なんですよね。

 

中島:

なるほど、海軍と陸軍と違うわけですね。

 

青木:

これは先の戦争について勉強するときの基礎資料のひとつですよ。

 

中島:

先生がいろんな本を書くときの資料にもなっているということですよね。

 

青木:

これ抜きで戦争は語れないです、この本抜きで。戦争関係の資料って軍が一番持っているわけです。軍隊って前線で戦った兵士たちが必ず陣中日誌というのを書くんですね。要するに報告書ですよ。それをまとめてきて、それをベースにして書いているから、歴史を勉強するときに公の資料、それを一番ベースにやっていくんですよ。戦争のことを研究している人でこの本を参考にしない人はたぶん1人もいないです。

 

中島:

そういうことなんですね。それから先生、二世の。このあたりの本、これとかもおもしろいですよね。


青木:

これはアメリカに移民で行かれた日本人の二世の皆さん。日本出身がルーツだけども、アメリカの市民権を持っている人たちがいたんです。これが太平洋戦争中に敵国の市民になって。パールハーバーを日本が攻撃したあとに「お前らは日本の手先だろう」みたいな疑いをかけられて強制収容されるんです、カリフォルニアとかですね。

その強制収容された日本人の若者、日系市民の若者が「自分は合衆国市民である」と。それを証明するために軍隊に志願して、誰よりも勇敢に戦うんですよ。

 

中島:

これが本当に悲しいですよね。

 

青木:

ハワイ出身の日系二世の人たちと、カリフォルニアなんかで442連隊というのを作るんです。これがアメリカの陸軍史上もっとも勇敢だと言われた部隊。もっとも勲章をもらい、なおかつもっとも死亡率が高かった。


中島:

これは漫画ですけど、実は書物もいっぱいあるということですね。

 

青木:

そうですね、文庫本にも結構なっています。「go for block」というのが日系二世部隊のスローガンで「当たって砕けろ」と。当たって砕けることによって自分たちは合衆国の市民だということを証明しようとしたわけです。

 

中島:

それから兵隊の声というとこのあたりもそうだということですよね。

 

青木:

そうですね。実際に戦争に参加した人たちの記録ですね。

 

中島:

僕なんかは「きけわだつみのこえ」ぐらいしか読んでいないんですけれども、「16年兵の思い出集」とか「熊本兵団戦士」


青木:

九州の師団というのは勇敢なことで有名だったので、突っ込ませるときに、敵陣に突っ込むときにだいたい九州兵団が先頭に立つことが多かったんです。

 

中島:

そうなんですよ。九州はかなり、地域の地域性というか気質というか、そういうのはあるでしょうね。

 

青木:

少なくとも戦前の日本陸軍はそういうふうに考えていたみたいで、だから突っ込ませるときは九州の兵団。占領地の経営は大阪の兵団。そして敵に攻撃されて逃げる、そのしんがりを務めるのは東北の兵団とかね。


中島:

そういうふうにいろいろ分けていたらしいんですよ。うちの爺さんも兵隊に行って中支、中国の一番激戦のところにどうやらいたみたいなんですが、まあなんというか、引き上げてきて、僕なんかは孫ですけど、まったく戦争の話なんて聞いたことないです。

 

青木:

私も爺さんも中支なんですよね、中支派遣軍。機関銃中隊の伍長かなにかをやっていたみたいですけど、断片的にはちょこちょこっと話してくれるけど、それ以上は聞いてくれるなと。


中島:

それぐらい悲しい歴史という上に我々はいるので、やっぱりよりちゃんとした社会を築いていかなければそういう人たちの大変だった想いをちゃんと昇華させられないですよね。

 

青木:

そうですよね。僕はいつも生徒に言うんですけども、戦争のことについて考えない歴史学ってあっても意味がないと思うんです。なんらかの形で人が人を殺してしまう戦争とはなんなのか、なんらかの形でそれに対して問いを発し、答えを出すようじゃないと、歴史学なんてあっても意味がない。存在価値はないと思うんですよね。

 

中島:

それをここでうつうつと考えて。それで息抜きであそこに志ん朝師匠の。


青木:

志ん朝さんは良いですよ。

 

中島:

これもひとつの歴史でしょうけど、戦後世代の落語家さんという。戦中世代の落語家さんは帰ってきてから落語をしたみたいなことですけど、戦後世代で、粋で、志ん朝師匠の落語は全部あるそうです。私は「大工調べ」というお話が大好きなんですけどね。

 

青木:

埋もれていた録音が蘇るんですよ。出るの。買っちゃうんですよね、全部ね。

 

中島:

僕は「ひなつば」というのもすごい。「こんなもの拾った」落語の話。

あと音楽も、ビートルズとか、また先生も性格的にはパンクなんでしょうね。

 

青木:

どうかな。

 

中島:

だってピストルズを貼っていたりとか、ジョニーロッドを貼っていたじゃないですか。だからああいうパンクだなと思って。

こういうビートルズとか、こういうのも。

ちょうど時間になっちゃった。すいませんね。書斎なのでいろいろ触りたいことがたくさんあるんですよ。先生の書斎からお届けしています。








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