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藤原賢子 「光る君へ」人物事典060

更新日:8月26日

【目次】


藤原賢子(ふじわらのかたこ):永井花奈

まずは、NHK公式の紹介を引用して、大河ドラマ上での設定を確認しておきましょう。


まひろの娘。祖父の為時にかわいがられて育つ。


一般的には「けんし」と呼ばれる賢子ちゃんは、歌人「大弐三位」(だいにのさんみ)として知られます。長保元年(999年)の末ごろに生まれたと推定されます。

ドラマでは、生まれる前から、もうYou are shock!でした。空だって落ちてくるかも知れません。


あと、マンガ『神作家・紫式部のありえない日々』(D・キッサン)に登場するケンちゃん(賢子)がかなり良いキャラしてます。オススメです。




キャスト:永井花奈(ながいかな)

同姓同名のプロゴルファーがいます。


キャスト:福元愛悠(ふくもとあゆ)

2017年生まれ。ジョビィキッズ所属です。マクドナルドのCMに出ていたようです。



実際、紫式部藤原宣孝の結婚生活は短かったので、生まれるとしたら確かにこの頃だとおもいます。出産の時期が近づいてきたときは、僧侶が読経したり、陰陽師がお祓いしたりして安産を祈願したことでしょう。また、散米(うちまき)といって、米を撒いて邪気を祓うこともしたかもしれません。


ドラマでは、重ねて言いますが、You are shock!です。奥様方に燃料投下しまくりです。


ドラマだと、生まれて2ヶ月経ったころに、宣孝から賢い人間になりますようにとの願いを込めて「賢子」と名付けられました。まあ、肉食系女子、すなわち”インテリハンターK

ATAKO”に育つんですけどね。

実際は、いつ頃名付けられるんでしょうねえ。。。

例えば、高貴な彰子なんかは、裳着のときに従三位になったときに名付けられたと推測されています。



29回「母として」(1001年)ごろの賢子

ドラマでは、宣孝パパの顔芸にキョトンとしていました。

パパとは約2歳で死に別れることになってしまいます。たぶん、記憶には残らない年齢でしょう。みなさんの場合は、どうですか?私の一番古い記憶は幼稚園に入ったあとのものですねえ。




30回「つながる言の葉」((1002~)1004年)ごろの賢子

ドラマでは、まひろではなく、祖父の為時に懐いていました。

また、まひろが書いた物語をファイアーするというパワー系のキャラを見せていました。



解説:実際の藤原賢子・その後の賢子

有馬山 猪名 (ゐな)の笹原 風吹けば いでそよ人を 忘れやはする

(小倉百人一首・大弐三位)



長保元年(999年)の後半に生まれたと推定される歌人です。

天皇の乳母となったことにより、母の紫式部をはるかに超えて従三位となり、「大弐三位」と呼ばれました。

家集に『藤三位集(大弐三位集)』があり、賢子の歌が49首入っています。勅撰集には37首選ばれています。『国史大辞典』によると「きめのこまかい修辞を用い、明快でしゃれた感じの歌が多い」で、『日本百科全書』によると「穏健典雅な歌風」らしいです。賢子の歌の中には、『源氏物語』の歌や場面を取り入れたものも見られるそうです。



長保三年(1001年)に父・宣孝と死別します。賢子は数え年で3歳。満2歳にもなってなかったと考えられます。


18歳~23歳ごろに、上東門院となった彰子に出仕します。倉本一宏氏の最近の研究では、このころも紫式部彰子に仕えていたと推察されています。ドラマでは、どうなるんでしょう。

彰子に出仕しているしているときは、祖父の藤原為時の官名に基づいて「越後の弁」などと呼ばれました。また、長い出仕期間中に何度も歌合に出席して、歌人として知られるようになりました。


1018~1019年ごろには、蔵人藤原定頼と恋愛します藤原定頼は藤原公任の子です。

1022~1022年ごろの恋人は、頭中将源朝任です。源朝任は源倫子の甥です。

時期は不明ですが、藤原頼宗との恋愛話もありました。藤原頼宗は藤原道長の子です。

恋愛弱者(ドラマではある意味強者)のママ紫式部と違って、賢子は高貴な御曹司を食い散らかす恋愛強者ですね。


やがて賢子(約26歳)は左衛門督藤原兼隆(41歳)(と結婚し、そ)の子を生みました。兼隆って、今度は道兼の次男ですよ。

ドラマの世界線でいえば、まひろは母(ちやは)を殺した男(ミチカネ)の弟(道長)の子を生んで、その子ども(賢子)は祖母を殺した男(ミチカネ)の息子の子を生んだということになります。恐ろしや。。

なお、兼隆との関係は短いものだったようです。


万寿二年(1025年)8月3日に親仁(ちかひと)親王(後の後冷泉天皇)が生まれたとき、最初に選ばれた乳母が病で辞退したため、賢子は補欠合格で親仁親王の乳母となりました。

ここで、親仁親王の母嬉子が出産の2日後に麻疹で亡くなったため、親仁親王は彰子の邸に迎え入れられました。なので、賢子は親仁親王の乳母をしつつも、彰子への奉仕も続けました。

(この間、高陽院殿で親仁親王に仕える)


1037年7月、親仁親王が元服して、8月に立太子して東宮となりました。東宮が内裏の梅壺に遷るに従って、賢子も内裏に参入しました。


長暦元年(1037年)ごろに、大宰大弐高階成章と再婚しました。高階成章は東宮権大進もしていたので、いわば職場結婚といったところでしょうか。高階成章には為家という子がいるのですが、その為家は賢子の子ではないかとも言われています(角田文衛説)。


寛徳二年(1045年)、後朱雀天皇が崩御したので、親仁親王が後冷泉天皇として即位します。乳母子が天皇となったことにより、賢子は従三位典侍となりました。下級貴族の娘としては、ほぼ頂点を極めたといえます。


天喜二年(1054年)に夫成章が大宰大弐となりました。賢子は夫の官名と従三位という官位から、いつからか「大弐三位」と呼ばれるようになります。

賢子は、少なくとも2回は大宰府に行っています。


1058年、夫の成章が赴任先の大宰府で死去します。


賢子は長生きで、75歳ごろ(延久五年(1073年))にも、後三条天皇崩御の悼歌を詠じています。

承暦二年(1078年)の内裏後番歌合に見える「為家母」は賢子かと推測されていて、永保二年(1082年)ごろに没したと見られています。


年表

では、藤原賢子の略年表を示します。年齢は数え年です。


999年:1歳。誕生。

1001年:3歳。父・宣孝と死別。

1016年~1023年?:18~23歳ごろ。上東門院彰子に出仕。

    (この間)藤原兼隆と結婚。

1025年:27歳。親仁親王(後の後冷泉天皇)が誕生し、その乳母となる。

1031年:33歳。彰子の岩清水・住吉社参詣に同行。

1032年:34歳。彰子御所の菊合に「弁の乳母」として数種の和歌を残す。

1037年?:39歳ごろ。高階成章と再婚。

1082年?:84歳ごろ。没する。


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