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藤原公任 「光る君へ」人物事典017

更新日:8月26日

【目次】


藤原公任(ふじわらのきんとう):町田啓太

まずは、NHK公式の紹介を引用して、大河ドラマ上での設定を確認しておきましょう。



時の関白の息子。道長とは同い年で、友情を育むが、出世レースが進むにつれ関係が変化する。音曲、漢詩、和歌など文化面に秀でており、紫式部(まひろ)の源氏物語に興味を持つ。


漢詩・管絃・和歌の三船の才をもっています。中古三十六歌仙の一人に数えられる、一条朝の歌壇の第一人者です。和泉式部や、清少納言、そして紫式部などとの交渉がありました。

大河ドラマの紹介に「出世レースが進むにつれ関係が変化」とありますが、下の年表をみると、なるほどずっと頼忠系のキサキについていますね。まあ、公任は遵子の同母弟妹ですし。

公任と実資の、道長に対する態度・関係の違いが注目されるところです。

姉の遵子が円融天皇の子を生むことにワンチャンかけますが、ドラマでは安倍晴明の呪詛によって遵子の出産は阻まれました。その後は、、、


キャスト紹介:町田啓太(まちだけいた)

劇団EXILEのメンバー、すなわちイケメン枠です。

大河ドラマでは、『西郷どん』(小松帯刀役)、『青天を衝け』(土方歳三役)に出演しています。


30回「つながる言の葉」((1002~)1004年)ごろの公任

ドラマでは、公任が住んでいる四条宮で、公任の妻の敏子が勉強会を開いています。そこで、まひろがあかねと出会いました。

あ、そういえば公任は四条宮に住んでいたことから、「四条大納言」と呼ばれていました。



長保六年/寛弘元年(1004年)

2月5日、息子の定頼を、道長の子の頼通の春日祭勅使デビューのお供につけます。二人は同い年です。


そういえば、ドラマの後半で、みんなで宴ってたのは何月ごろなんでしょうか。(追記:閏九月みたいですね)



31回「月の下で」(1004年)ごろの公任

長保六年/寛弘元年(1004年)

斉信が公任の位階を超えて従二位となったので、すねて、10月以降、公任は一年近くも働かなくなります。、、、いいご身分やな。

ドラマでは斉信とロバート実資がやってきましたが、ロバート実資は百乃ちゃん目的でいいとしても、斉信は火に油を注ぐだけのような気が。。。


少し、事情を詳しく説明しておきます。

10月14日に一条天皇は松尾社に行幸して、10月21日には北野天満宮と平野社にも行幸しました。超絶過密スケジュールです。このイベントを支えるスタッフたちは相当に大変だったと思いまうす。

というわけで、これらの連続行幸イベントが終わったあとに、連続行幸超過密イベントを成功させた人たちに褒美、すなわち位階が与えられました。そのなかで、権中納言正三位だった斉信は従二位の位階を与えられました。ちなみに、ドラマでは中宮職としての功が前面に出されていましたね。

このとき、1歳年上で約38歳の公任は中納言正三位でした。公任からすれば、約14歳で元服して正五位下で官界デビューして以来、25年ぐらいずっと後輩として後ろを歩いていた斉信に追い抜かれたということで、たいそうプライドを傷つけられてご立腹だったというわけです。



解説:実際の藤原公任・その後の公任

関白太政大臣藤原頼忠の長男で、母は代明親王の娘厳子です。藤原実資は従兄弟にあたります。他に、書道の名人・三跡(藤原行成・藤原佐理・小野道風)の一人、藤原佐理も従兄弟です。


関白の長男で、祖父(実頼)も関白だったのに、摂関への道を昇ることはできなかった人です。

その理由は、兼家が権力争いに勝利したからであり、姉の遵子が円融天皇の皇子を産まなっかったからです。ちなみに、大河ドラマだと、遵子が皇子を産まなかったのも兼家が安倍晴明に呪詛させたせいななので、やっぱ兼家のせいですね。


有識故実書の『北山抄』も書いています。『北山抄』読むゼミに参加したことがありますが、難しかったです。





995年に息子の定頼が生まれます。


寛弘二年(1005年)

7月21日、一年近くもサボってやがった公任が辞表を叩きつけると、一条天皇が「出世させるから働いて~」って言ってきて、従二位になります。

ほんっと、い~~~ご身分やな。日本中の労働者が聞いたら怒るで。労働者のオレも怒る。

なお、このときの辞表は、閨房に全振りした赤染衛門の夫の大江匡衡に書いてもらったという話があります。


寛弘四年(1007年)

4月28日、遵子の弟の公任は皇太后(遵子)宮大夫ですが、部下の権大夫に行成がなります。


寛弘八年(1011年)

7月18日、前月に崩御した一条天皇の遺骨を(?葬送儀礼を?)いいかげんに扱います。



草稿:以下は『国史大辞典』



従兄弟にも、能筆の佐理、歌人の高遠、『小右記』記主の賢人右府実資など、人材が多い。その子は、歌人の権中納言定頼、大二条関白藤原教通室など。官歴は、天元三年(九八〇)元服して、正五位下、侍従、同五年、従四位上、永観元年(九八三)、左近衛権中将、寛和元年(九八五)、正四位下、永祚元年(九八九)、蔵人頭、正暦三年(九九二)、参議、長徳元年(九九五)、左兵衛督、皇后宮大夫、同二年、右衛門督、検非違使別当、同四年、勘解由長官、長保元年(九九九)、従三位、同三年、中納言、左衛門督、正三位、寛弘二年(一〇〇五)、皇太后宮大夫、従二位、同六年、権大納言、長和元年(一〇一二)、太皇太后宮大夫、正二位、治安元年(一〇二一)、按察使、万寿元年(一〇二四)致仕。『大鏡』などで漢詩・管絃・和歌の三船の才を称された才人で、歌人としては、中古三十六歌仙の一人に数えられ、一条朝の歌壇の第一人者として、藤原仲文・小大君・藤原実方・藤原道信をはじめとして、源兼澄・大中臣輔親・藤原長能・源道済、あるいは和泉式部・清少納言・紫式部などとの交渉があり、次代の能因や藤原範永などにも感化を与えた。私撰集の『拾遺抄』を著わして、勅撰集の『拾遺和歌集』に大きな影響を及ぼしたこと、歌学書の『新撰髄脳』『和歌九品』により、心姿具有と余情美の歌論を樹立したこと、秀歌撰の『三十六人撰』を編纂して、三十六歌仙を選び出したこと、漢文とも関わるが、詩歌の詞華集の『和漢朗詠集』を撰述したことなど、その業績は大きい。寛和元年、同二年の両度の内裏歌合、長保五年の藤原道長家歌合に出詠し、長保元年の道長女彰子入内屏風歌、同三年の東三条院詮子四十賀屏風歌、寛仁二年(一〇一八)の藤原頼通大饗屏風歌を詠進するなど、当時の宮廷や権門の代表的な和歌関係の行事のほとんどに関与している。家集に『公任集』があり、『拾遺和歌集』以下の勅撰集に八十九首入集。前掲以外に私撰集に『如意宝集』(散佚して断簡のみ)、『金玉集』、『深窓秘抄』、秀歌撰に『前十五番歌合』、『後十五番歌合』(他作説もあり)などがあり、ほかにも『古今集注』『歌論義』『四条大納言歌枕』などの歌学書があったらしい。漢詩の作品は『本朝麗藻』などに収められ、仏典の注釈書の『大般若経字抄』もある。有識故実書の『北山抄』は、源高明の『西宮記』や大江匡房の『江家次第』と並ぶ重要な著作である。万寿二年、長谷に籠居、同三年、解脱寺で出家、長久二年(一〇四一)正月一日、現地で没した。享年、七十六。


年表

では、藤原公任の略年表を示します。年齢は数え年です。


966年:1歳。誕生。

980年:15歳。元服、正五位下、侍従。

982年:17歳。従四位上。

983年:18歳。左近衛権中将。

985年:20歳。正四位下。

989年:24歳。蔵人頭(一条天皇)。

992年:26歳。参議。

995年:29歳。左兵衛督、皇后宮大夫(定子)。

996年:30歳。右衛門督、検非違使別当。

998年:32歳。勘解由長官。

999年:33歳。従三位。彰子入内を祝う屏風歌を詠進(実資は拒否)。

1001年:35歳。中納言、左衛門督、正三位。

1005年:39歳。皇太后宮大夫(遵子)、従二位。

1009年:43歳。権大納言。

1012年:46歳。太皇太后宮大夫(遵子)、正二位。

1018年:52歳。藤原頼通大饗屏風歌を詠進。

1021年:55歳。按察使。

1024年:58歳。致仕。

1026年:60歳。長谷に籠居

1027年:61歳。出家。

1041年:76歳。死去。享年76。


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