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藤原伊周 「光る君へ」人物事典027

更新日:8月26日

【目次】

藤原伊周(ふじわらのこれちか):三浦翔平

まずは、NHK公式の紹介を引用して、大河ドラマ上での設定を確認しておきましょう。


道隆の嫡男。才色兼備の自信家の青年。若くして、父の引き立てによりスピード出世を果たす。父亡きあとは、妹の定子への一条天皇の寵愛を頼りに、道長と火花を散らすライバルとなる。


「才色兼備」のイケメンっぷりを、ドラマでも視聴者に見せまくってくれている伊周ですが、もちろん同時代的にもそのイケメンっぷりは褒めちぎられています。

『栄花物語』によると、伊周は「御容姿整ほり、太り清げに、色合いまことに白くめでたし」と言われています。

”福々しく太った色白のイケメン”ということで、当時の美的価値観をうかがいしることができます。

キャスト:三浦翔平(みうらしょうへい)

東京出身の俳優です。大河ドラマは初出演です。


天延二年(974年)約0歳

この年、伊周が生まれます。幼名は小千代君です。パパの道隆はまだまだ蔵人です。


天元二年(979年)約5歳

この年、弟の隆家が生まれます。兼家じいちゃんは右大臣、道隆パパは右中将まで昇っています。


寛和元年(985年)約11歳

11月20日、従五位下となります。


寛和二年(986年)約12歳

6月24日、兼家じいちゃんが一条天皇の摂政となります。

7月20日、道隆パパが権大納言となります。

8月13日、6月に践祚した一条天皇の侍従となります。まあ、お子さまとお子さまですね。

10月15日、左兵衛佐となります。


永延元年(987年)約13歳

正月7日、従五位上となります。

9月4日、左少将となります。

10月14日、正五位下となります。

10月17日、蔵人となります。


永延二年(988年)約14歳

正月7日、従四位下となります。


永祚元年(989年)約15歳

2月23日、道隆パパが内大臣となります。

3月25日、従四位上となります。

4月5日、右中弁となります。

7月13日、右少将となります。


正暦元年(990年)約16歳

妹の定子が入内して女御となり、道隆パパが5月に摂政となり、兼家じいちゃんが7月に没します。

7月10日、右中将となります。

9月1日、伊周が蔵人頭となります。

10月5日、定子が中宮となります。

10月22日、正四位下となります。


正暦二年(991年)約17歳

正月26日、参議となります!

9月7日、権中納言となります。

このころ、源重光の娘(ドラマでは幾子)と結婚します。


正暦三年(992年)約18歳

8月28日、大納言となります。

12月7日、正三位となります。

この年、道雅が生まれます。


正暦四年(993年)約19歳

正月7日、公卿と確執が起こります。

4月23日、道隆パパが関白となります。

7月27日、公卿と確執が起こります。

このころ、清少納言が定子姉さんに仕え始めます。


正暦五年(994年)約20歳

2月、定子の積善寺供養に列席します。このときの様子は『枕草子』第259段に詳しく書かれています。それは、牛車に乗るときのあれこれエピソードですが、清少納言は貴公子の伊周隆家が近くにいたのでドギマギしています。

8月28日、内大臣となります。


長徳元年(995年)約21歳

2月28日、道長と確執があります。

3月9日、道隆パパが病気の間のみという条件で、内覧となります。

4月10日、道隆パパが亡くなります。

4月27日、叔父の道兼が関白となります。

5月5日、伊周の内覧が停止されます。

5月8日、道兼も亡くなります。

5月11日、叔父の道長が内覧となります。

6月19日、道長が右大臣となります。

7月24日、伊周と道長が激しく口論します。

7月27日、隆家の従者と道長の従者が、闘乱におよびます。

8月2日、隆家の従者が、道長の随身を殺害します。

8月3日、隆家が朝廷出禁となります。

8月28日、東宮(居貞親王)傅となります。


長徳二年(996年)約22歳

正月16日、伊周と隆家の従者が花山院の従者と闘乱します。長徳の変。

4月24日、伊周は大宰権帥に、隆家は出雲権守に左遷されます。

5月1日、隆家は出雲に送られます。

5月4日、伊周が出立します。

二人ともゴネて、左遷先に行こうとしません。

5月15日、伊周を播磨に、隆家を但馬に安置するという、よく分からないことになります。身分が高いヤツはゴネ得ですね。

10月7日、伊周が密かに上京します。高階貴子ママに会いたい一心でしょうか。

10月11日、しっしと大宰府に追い返されます。


長徳三年(997年)約23歳

4月5日、伊周と隆家が召還されます。

5月21日、隆家が入京します。

12月、伊周が入京します。


長保二年(1000年)約27歳

12月16日、妹の定子が崩御します。約24歳でした。


長保三年(1001年)約28歳

このころ、清少納言の『枕草子』が成立します。




29回「母として」(1001年)ごろの伊周

ドラマでは、息子の松(後の道雅)に童舞ハラスメント、すなわち”ワラハラ”をしていました。

長保三年(1001年)閏12月16日、東三条院詮子の病気平癒のため、本位(正三位)に復します。

ドラマでは、本位に復した挨拶のときに、一条天皇に『枕草子』を献上していました。ただ、伊周の昇殿が聴されるのは寛弘二年(1005年)のことではあります。



解説:実際の藤原伊周・その後の伊周

藤原道隆と高階貴子の息子です。定子の兄にあたります。若くして政治的に失脚します。道長に負けたというより、自滅した感が。。。

歌集に『儀同三司集』があります。


長徳の変で都を放逐された伊周は、亡き父親の墓に参ろうとしましたが、小幡にあった道隆の墓所は雑草に覆いつくされていました。

藤原氏の墓所である小幡には、後に道長が浄妙寺を建立しました。


息子の道雅も、父の血を引いたのか、親父のアホさ加減にグレたのか、「荒三位」と呼ばれたり、彼女(当子内親王)のパパ(三条天皇)に蛇蝎のように嫌われたりします。



長保四年(1002年)約28歳

9月24日、権中納言に復活します。(要確認、隆家かも)

この年、妹の原子(居貞親王と結婚していた)が亡くなります。


長保五年(1003年)約29歳

9月22日、従二位となります。いいご身分やなあ。


長保六年/寛弘元年(1004年)約30歳

6月~、何度か道長の見舞いに行きます。

閏9月、一条天皇の催しに伊周は積極的に参加して、道長と仲良く(⁉️)詩を詠じたりしています。

寛弘二年(1005年)約31歳

正月4日、道雅が元服して、昇殿を聴されます。

2月25日、伊周の席次が、大臣の下で大納言の上と決まります。みんな、こいつの取り扱いに苦労してんなあ。。。

3月27日の敦康親王(伊周の甥)と一条天皇の体面の儀と、同日の脩子内親王(伊周の姪)の着裳の儀に際して、伊周は昇殿を聴されて帰京後初めて公卿の座に着きます。その後の道長邸での詩会で詩をつくり、万座を感動させたそうです。

4月24日、内裏で夜勤をします。

7月21日、勅授帯剣を聴されて、杖座に着して、人々の非難をあびます。

7月28日、相撲召合で形式通り道綱上座に座って、道綱を怒らせます。

11月13日、散位ながら朝議に参加すべき宣旨を受けて、現任公卿と同じ扱いをうけることとなります。


寛弘三年(1006年)約32歳

正月16日、踏歌節会に参加したら、道綱を始めとする大納言ズにボイコットされます。

7月3日、神鏡定めに参加します。


寛弘四年(1007年)約33歳

8月9日、伊周と隆家が、金峯山詣で中の道長を暗殺する計画を進めている、というウワサがたちます。


寛弘五年(1008年)約34歳

正月16日、大臣と同等の封戸を受けます。

9月10日、彰子の出産に駆けつけますが、道長に拒否られます。

12月20日、敦成親王(彰子の子)の百日の儀に和歌序題を書きます。ねえ、どんな気持ち?伊周、今どんな気持ち?


寛弘六年(1009年)約35歳

正月30日、彰子と敦成親王と道長が呪詛されます。

2月20日、朝廷に出禁にされます。呪詛、バレとるやん。

6月13日、朝廷出禁が解かれます。冤罪?なら、ごめん。


寛弘七年(1010年)約36歳

正月28日、亡くなります。オマ、、、最後まで変われんかったなあ。。。


長和四年(1015年)??歳

12月13日、オバケになって、頼通を脅かします。オマ、、、死んでも変わらんなあ。。。


年表

では、藤原伊周の略年表を示します。年齢は数え年です。


974年:1歳。誕生。

990年:17歳。父道隆が関白に。伊周は右中将、蔵人頭、正四位下に。

991年:18歳。参議→従三位権中納言

992年:19歳。正三位権大納言。

994年:21歳。内大臣。(叔父の道長を超える)

995年:22歳。道隆重病も伊周は関白になれず→道隆病気中に限って内覧に

「その強引なやり口は一条天皇の心証を害し」(『国史大辞典』)

      4月10日、道隆死去

      4月27日、道兼を関白に

      5月5日、伊周の内覧停止

      5月8日、道兼死去

      5月11日、道長が内覧に→6月19日、道長が右大臣に

兄の伊周と叔父の道長の対立が深まる。

伊周と道長の激烈な口論。

弟隆家と道長の従者同士の衝突・殺傷沙汰が続く。

高階成忠による道長呪詛が噂される。

996年:23歳。正月、伊周と隆家が花山法皇に矢を射かけた事件 →伊周兄弟の罪名勘申が命ぜられる

      4月、法皇狙撃と東三条院呪詛と密かに大元帥法を修した罪により、大宰権帥に配流が決定 →定子の二条邸(このとき定子は懐妊で二条邸に退出していた)に逃げ隠れする→出家姿で配流先に送られる →病気と称してゴネる

      5月、播磨国に逗留することが認められた。

      10月、俗人姿で密かに入京して、母貴子と妹定子を見舞う。 →見つかって大宰府に護送。

997年:24歳。3月、大赦。 →12月、入京。

1001年:28歳。本位に復す。(この後も政治的には無力)

1003年:30歳。従二位。

1008年:35歳。准大臣。

1009年:36歳。正二位。

    2月、「東三条院呪詛事件が起き、朝参を止められたが、間もなく許された」(『国史大辞典』)

1010年:37歳。正月28日、死去。


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