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藤原定子 「光る君へ」人物事典025

更新日:6 日前




【目次】

藤原定子(ふじわらのさだこ)

まずは、NHK公式の紹介を引用して、大河ドラマ上での設定を確認しておきましょう。



道隆の長女。一家の繁栄を願う父の思いを一身に負い、年下の一条天皇に入内する。清少納言らが集う、才気にあふれたサロンを作り上げ、一条天皇の最愛の妃(きさき)となるが、悲運に見舞われる。


母が学者の家系のインテリで、陽キャです。インテリ陽キャという無敵感あふれるキャラです。(追記)ドラマでは、「わたしバカでいいも~ん」キャラになりました。

陽キャサークルの女王でしたが、父道隆が死んで、そっこーで兄伊周が失脚・左遷してからの転落がド悲惨です。


一般には「ていし」と呼ぶことが多いです。関白藤原道隆と高階成忠女貴子の娘です。清少納言が仕えた人です。

立后の「当時、太皇太后・皇太后・先帝(円融)皇后がいずれも存命のため、定子は中宮と称し、これが皇后・中宮の称号を別個に用いる先例となる。」(『国史大辞典』)

太皇太后は昌子内親王で、皇太后は詮子で、皇后(元来、=中宮)は遵子。皇后がいるのに定子が中宮となるいことによって、皇后と中宮が分かれることとなりました。


キャスト:中村たんぽぽ

子役です。




キャスト2:高畑充希(たかはたみつき)

大阪出身の女優、歌手、タレントです。大河ドラマは初出演です。




実際の藤原定子

正暦五年(994年)約15歳

2月、積善寺供養に出かけます。このときの様子は『枕草子』第259段に詳しく書かれています。それは、牛車に乗るときのあれこれエピソードですが、清少納言が貴公子の伊周隆家が近くにいたのでドギマギしています。定子と清少納言も仲がよさそうです。


995年に朱仁聡が若狭に来航して越前に移された。このとき、定子は朱仁聡から唐物を入手した(『権記』)。


1000年2月10日、立后の儀式のために、女御彰子は道長が住んでいる二条邸に退出しました(このとき、道長は土御門殿じゃないのね)。

一条天皇は、彰子に手紙を送るのですが、彰子のいぬ間に、返す刀で中宮定子とその子敦康親王を内裏に呼びよせました。なお、定子は3月27日に退出しました→定子のページ。


1000年2月25日、女御彰子は土御門殿に移り、天皇は紫宸殿で立后の儀式を始めました。

こうして、皇后の遵子は皇太后となり、中宮定子は皇后となり、女御の彰子は中宮となりました。

1000年3月27日、皇后定子は、皇后宮大進平生昌第に退出しました。

『栄花物語』には25歳の厄年に懐妊した定子を心配する一条天皇の様子が描かれています。

また、内裏に登ったときのわずか1ヶ月半の家族団らんについては、『枕草子』に描かれています。


引責出家したはずの定子ちゃんは、内裏の横の職御曹司に住んでいました。

6月14日、内裏が火事で焼亡したので、定子も一条天皇が遷った一条院に移りました。この一条院が、『枕草子』にも出てくる一条院内裏です。



この件について、8月ごろ、赤染衛門のダンナ大江匡衡が、「内裏が焼けたのは、一条天皇定子を連れ込んでるからじゃね?」と、行成に話しています。


7月8日、中宮職の長官、中宮大夫の平惟仲が辞表を叩きつけてきました。

惟仲が中宮大夫になって二度目の火事だし、前回の火事のときは自分のおうちに定子ちゃんが転がり込んできたことを鑑みるに、そろそろ堪忍袋の緒が切れたんじゃねえか、てか、定子ちゃんに見切りをつけたなんじゃね?と、勝手に思っています。


8月9日、定子ちゃんは、引責出家したはずなのにお産が近づいてきたということで、一条院から退去しました。定子ちゃんは、中宮大夫平惟仲に逃げられていたので、身分が低い平生昌(なりまさ)の宅に移らされました。なお、この後、定子の中宮大夫が任命されていない可能性があるようです。



ききょうは、「平生昌の宅は、定子ちゃんほどの高貴なる御方には粗末すぎる」と言って、『枕草子』にいろいろと不満をぶちまけています。

「定子ちゃんの引っ越しを手伝って」という一条天皇の頼みは全ての公卿に無視されて、あてつけに同じ日に宇治に遊びに行った道長の誘いには、道綱斉信だけがついて行きました。

つまり、公卿はどっちにつけばいいか分からず、静観を決め込んでいたようです。


11月7日、定子は、ボロい平生昌邸で敦康親王を生みました。

一条天皇は全力で喜びましたが、道長は日記『御堂関白記』で、定子の出産をガン無視しています。この日に、彰子は女御となっています。

ドラマでも強調されるけど、そもそも定子ちゃんは出家していました。要は定子は尼さん扱いなわけで、原理的にはエッチしちゃいけない立場の人です。

一条天皇が出家後の定子ちゃんを内裏に呼び寄せてエッチするってのは、西洋の皇帝とかが権力に任せて、神に仕えてエッチしちゃいけないシスターをお城に連れ込んで妊娠させるようなものかもしれません。

実資は日記『小右記』で、引責出家したはず定子の出産をボロっカスに言っています。


28回「一帝一后」(999~1000年)ごろの定子

長保二年2月11日、一条院内裏に入ります。

(この間、一条天皇とラブラブちゅっちゅして、媄子内親王を懐妊します)

2月25日、彰子が中宮となったときに、定子は中宮から皇后になります。

3月27日、平生昌邸に退出します。

8月、親子で一条院内裏に入ります。彰子第(土御門殿)で和歌の会がある日の夜に退出します。

12が月15日の午前中、媄子内親王を出産しますが、後産がおりず、翌16日の明け方に崩御しました。享年25歳でした。ドラマでは、15日の出産とともに亡くなったような演出でした。


年表

では、藤原定子の略年表を示します。年齢は数え年です。


976年:1歳。誕生。

990年:15歳。正月5日、一条天皇元服

      正月25日、定子入内

      2月11日、定子は女御となる

      5月4日、兼家が関白に

      5月8日、道隆が関白に

      5月26日、道隆が摂政に

      7月2日、兼家死去

      10月5日、定子は中宮

995年:20歳。4月10日、道隆死去

      4月27日、道兼を関白に

      5月5日、伊周の内覧停止

      5月8日、道兼死去

      5月11日、道長が内覧に→6月19日、道長が右大臣に

兄の伊周と叔父の道長の対立が深まる。

996年:21歳。3月、二条邸に退出(懐妊のため)。

      4月、兄の伊周左遷→左遷取りやめを訴えるために?検非違使が寝室を破壊したために?定子は落飾

      6月、妊娠中の居所二条北宮が焼亡する。母高階貴子も死去。

      12月、修子内親王を出産。予定日を大幅に過ぎたため、彰子の入内と重なる。

997年:22歳。6月、一条天皇の希望により再入内→世間の不評をかう

999年:24歳。第一皇子敦康親王を出産。

1000年:25歳。彰子が中宮となる→定子は皇后に(一帝二后並立の初例)

      12月、媄子内親王を出産→翌日死去


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